ペニンシュラ地区にて

 ペニンシュラ地区。
 この地区を象徴する建築物であるペニンシュラ刑務所に服役していた囚人達の手によって街は蹂躙されている。それに対する市民軍は疫病の対策にも追われ戦力不足ぎみ。市街中心部とペニンシュラ地区との境にあるペニンシュラ門前に陣をとり、応戦するのがやっとのようだ。
 噂では囚人達を解放したのは看守長のアレイフィンとされているが、真偽はさだかではない。

 相棒のシャルウィンと共にこの地区を訪れた私は、まずペニンシュラ門の守備隊長に挨拶をする。
 彼の話によれば、どうやらセドス・セバイル隊長率いる一師団が街の南東部に指令本部を設置することに成功したらしい。

「詳しいことは最前線で戦っている彼女に聞いてほしい」
「わかりました」

 彼と別れた後、まずは初めての戦闘に向けてパートナーのシャルウィンと戦い方について打ち合わせ。(決められる事柄は少ないが。)

「俺が敵に接近戦を仕掛けていくから、シャルは遠距離から弓と魔法、そして”歌”でサポートよろしく」
「OK、簡単よ」

 簡単、か・・・(シャルはNPCだから)魔法に関しては正直期待してないけど。

 ペニンシュラ門から坂を上ったところにペニンシュラ刑務所と同地区の居住区がある。ここが囚人達との戦場になるわけだ。

 そうこうしているうちに、さっそく囚人達のお出まし。
 一人一人の強さは大したことないが、3〜5人が徒党を組んで襲い掛かってくるので厄介。こちらはアカデミーを卒業したばかりの新米戦士なので、囲まれないように注意しながら戦っていく。

 敵が繰り出す攻撃を盾で受け止め、剣で受け流し、しゃがんで避ける。
 (見ていると)なかなか面白い。
 たまにシャルが暴走して囚人の群れに特攻、自爆、なんていうお茶目なことをするが、これはご愛嬌。

ペニンシュラ地区 司令本部にて

 道具屋で購入した地図で現在地を確認しながら東へと進攻。
 やがて衛兵が見張りをしている建物にたどり着いた。

 この建物に司令本部が設置されているのかな。

 衛兵に事情を話し、建物内へと入る。
 セバイル隊長は急に現れた私達に驚いた様子だったが、レディ・アリベスからの援軍と聞いて納得したようだ。
 ペニンシュラ地区の今の状況について話を聞く。

「ところで・・・正規の軍務ではないけど、一つ頼みたいことがあるの」
「なんでしょう?」
「刑務所に潜入して真相を探ってきてほしいの」
「潜入・・・ですか?」
「噂ではアレイフィン看守長が囚人達を釈放したということになっているけど、彼がそんなことするなんて信じられないわ」

 私にはいきなり刑務所に潜入してこい、なんていうあなたが信じられません。

「まずは刑務所の扉を開けるために、鍵を持っている囚人を見つけ出しなさい。この地区の南西にある下水溝で囚人達をよく見かけるからそこから調べてみてはどうかしら」

 勝手に話を進めるセバイル隊長。どちらにしろ刑務所には行くつもりだったから構わないが。

「了解。任せてくれ」
「それじゃお願いね。この騒動の原因が何であれ、それを解決した時には私に報告するのを忘れないように」

 成功報酬 300Goldでこの命がけの依頼を受けた私。
 所詮は一兵卒、悲しいのう。

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