見聞を広め隊(3日目)

■アクリ・テオラ入口にて

 アクリ・テオラ。
 マップ上ではゲルのような建物に見えたので遊牧民たちが暮らしている場所と思ったのだが、近づくにつれてそれが間違いだったことに気づく。
 見たことのない素材で作られた無機質な巨大建造物、入口前に立ち並ぶ光る柱、そして、謎の機械人形。


 「やばい。ここ、ゲーム終盤に訪れる場所だ・・・」と、これまでの私の経験が告げる。

 はるか昔、人間同士の醜い争いにつかれた一部の人たちが自らの体を機械化し、山奥にひっそり引きこもった。やがて大災害が起き、人間の築いてきた文明は一旦の滅びを迎える。その数千年後、突如とした現れた魔王ほにゃららを倒すべく旅に出た勇者一行がラスボスがいるダンジョンの直前に訪れて「昔こういうことがあったのよ」って種明かしされる街。それがアクリ・テオラ! きっとそうに違いない。

 入口前にいる機械人形に話しかけてみると、特に人間を嫌っている様子はなく、危害を加えられる心配はなさそう。
 中に入るかどうか悩んだが、好奇心を抑えきれず、建物の中をのぞいてみることにした。

■アクリ・テオラ

 アクリ・テオラの内部は、もう世界というか時代が違った。
 私の拠点がようやく人が火と道具を扱うようになった石器時代だとしよう。途中で立ち寄った旅商人の停泊地を中世とすると、アクリ・テオラは現代をすっとばして未来。文明のレベルが違いすぎてついていけないよ。

 アクリ・テオラ内部の映像は諸事情により公開できないが(スクショ取り損ねただけ)、そこもかしこも謎の機械だらけ。そこらじゅうで電力という謎のキーワードがとびかっている。掲示板も電子掲示板だし、自動販売機なるものにはパンティが8,000オレンという超高額で売られている。8,000オレンも投入していたら日が暮れそうだ。

 旅の疲れで眠気がひどかったので眠れる場所を探したのだが、この町の人たちは寝ないのか、ベッドのようなものが置かれていない。否、唯一市長の部屋にだけベッドが置かれていたので思わず転がり込む。

■飢えと罪

 翌朝、目を覚ました私は空腹にさいなまれた。旅の相棒であるワン三郎も気づけば餓死寸前だった。
 たしかこの世界の犬は腐った肉大丈夫だったよな、と持っていた腐りかけの肉をあげ、残り僅かとなったクラムを二人で分け合い、飢えをしのぐ。

 ちょうどこの頃だったか。ガイド妖精が現れ「悪いことしたわね」などとのたまってきた。
 ログを確認してみると、どうやら以前受けた依頼が期限を超えて消滅したようだ。これもこの世界だと罪になるのか?
 期限付きのクエストをむやみに受けるのはやめようと、心に誓う。

■無慈悲な襲撃

 アクリ・テオラを出発し、街道を再び西へ進む。いまの食料が尽きる前に街につかないと今度こそ餓死してしまう。

 ワン三郎と2人で街道を歩いていると、同じように街道を歩いていた市民から急に攻撃を受けた。近くにガードらしき人物もいるが、こちらを助けてくれる気配はない。むしろこちらを攻撃しようとする素振りさえみえる。
 私はワン三郎と逃げたのだが、ワン三郎は市民に殴り殺されてしまった。すまぬ、すまぬ・・・。

 先ほどの依頼の期限切れで罪人にでもなってしまったのか。それとも市民やガードという名前の野党だったのか。

 独り街道を歩く私は、やがて街道の突き当たりにある海辺の町を発見した。


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