緊急クエスト:黒く蝕み地を染めん(★5)

 ギルドが長年追いかけてきた”黒蝕竜”ゴア・マガラとの決着を着ける時がついに来た。
 ギルドの期待をこの身に受け、いざ決戦の地、遺跡平原へ!

 遺跡平原の頂へと通じる断崖がそびえ立つエリアまでやってきた。ここにもゴア・マガラの姿は見あたらない。
 ふとここでアルセルタスと戦った時のことを思い出す。あれから一週間程度しか経っていないのに、ずいぶん昔の事のように感じる。

 ここから山頂に昇ろうか、それとも峡谷に下りようかと思案していると、崖の上から岩壁を這うようにして黒いモヤのようなものが垂れ流れてきた。気持ちが悪いので避けようとするも、気づくのが遅かったのか、迫ってきたモヤに脚が触れる。と次の瞬間、けたたましい咆吼ともに頭上から浴びせられた突風に体をあおられ、私は崖下へと転落してしまった。

 少し気を失っていたのだろうか。
 痛みをこらえ、なんとか体を起こすと、奴が、ゴア・マガラが頭上から舞い降りてきた。あの黒いモヤと先ほどの突風は、奴の仕業だったのだ。
 ゴア・マガラは私と対峙すると、ひときわ大きな咆吼を上げ、徐々にその体を変貌させていく。
 頭に生えたカッコイイ角、6本に増えた脚。これがゴア・マガラの真の姿、いわゆる最終形態なのか!?

 一気に見た目がバージョンアップしたゴア・マガラの姿に驚きと興奮を覚えつつ、決戦の幕は切って落とされた。

 ゴア・マガラとの戦いもこれで3度目。今回は謎ウィルス対策としてウチケシの実もたくさん用意してある。いくらカッコイイ角が生えたとはいえ、これまでと強さは大差ないだろうと思っていたのだが、これが甘かった。最大珈琲よりも甘かった。

 まず奴の攻撃でもっとも厄介なのは、私の苦手とする突進だ。しかも脚が6本に増えた分、横幅が広がり突進力がアップしている。次に奴の口から吐き出される漆黒の炎。これの攻撃範囲が広くなり、回避したつもりが回避できておらず、ウィルスに侵されることもしばしばあった。

 ウィルスといえば、私は勘違いしていたが、ウチケシの実でウィルスの進行を遅らせることは可能だが治すことはできない。従って、発症前にウチケシの実を使わないと意味がない。
 ウチケシの実を使うのは発症してからでいいや〜と気楽に考えていた自分の愚かさを思い知る。

 体力回復のために回復薬を、ウィルスを抑えるためにウチケシの実を使用していると、結構な硬直時間ができる。そこをゴア・マガラに狙われ、幾度となく吹き飛ばされているうちに「なにこのクソゲー」と気持ちがやさぐれていく。

 そして私は灰になった。
 そこに祈りも囁きも詠唱もない。

敗戦、そして

 ゴア・マガラに敗北した私は憂鬱な気分のまま村へと帰還した。
 正直やる気が出ない。

 いつもの癖でおもむろに探索ポイントをチェックすると、えっ、お宝エリアあり!? しかも入手装備の傾向が双剣/片手剣!!
 俄然やる気が湧いてきた。

 ピッケル片手に探索へ出発。お宝エリアで採掘だけして村に帰る。
 採掘の結果は、双剣 2、片手剣 1。きたきた、初の発掘片手剣!
 気になる性能はというと、

マスターバング
攻撃力:182
火属性:120
切れ味:黄色多め(緑なし)
スロット:1
会心率:10%ヴ

 切れ味に緑色の部分がないのが惜しい! だが、それでもかなりの高性能で満足満足。
 この武器で今度こそゴア・マガラの奴を倒してやる!

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