ペニンシュラ地区 タングルブルック夫人邸
タングルブルック夫人の邸宅は刑務所の北側、海岸線沿いに建っていた。
以前、同夫人邸の使用人を救出した際に夫人邸と刑務所を結ぶ地下道の存在を知った私は、ここから刑務所へ潜入することに決めたのだ。
玄関マットの下に隠してあったスペアキーを使い、家の中へと入る。
家の中は静まり返っていた。いや、耳を澄ましてみると、キシキシと何かきしむような音が聞こえる。
慎重に音のするほうへと近づいていくと、下り階段の手前に蟲が2匹。
あのキシキシという音は、蟲の関節がきしむ音だったのか。
「あれはスティンクビートルよ。有毒なガスを放出するから気をつけて」
(解説役の)シャルウィンがそう説明する。
シャルウィンの言うとおり、こちらが斬りつけるたびにスティンクビートルはガスを放ち、それを吸い込んでしまうと意識が朦朧として気を失ってしまう。特に死ぬ間際に大量のガスを放出するのがやっかいだ。
シャルウィンと二人して気を失ってしまったときは死を覚悟したが、なんとかスティンクビートルを2匹とも退治することが出来た。
蟲を退治したあと、邸宅内を調べてまわる。
すべての部屋を調べ終えたが、この屋敷の主人であるタングルブルック夫人の姿がどこにも見当たらない。先ほどの蟲に食われてしまったか、それともアレイフィンを頼って刑務所へと向かったか。
なにか手掛かりになるようなものはないかと部屋の中を漁っていると、机の上に置かれていた錬金術の装置からセレスチャル・エリクサーを発見。
そういえば夫人は体が弱いとか聞いた気がする。なにか使い道があるかもしれないし、頂いておくか。
タングルブルック夫人邸 地下道にて
階段を下りて地下道へと向かう。
アレイフィン看守長がタングルブルック夫人の為に造ったという地下道は予想以上に広かった。どちらかといえば地下室と呼んだほうが正しいかもしれない。
この空間の中央には高さ 7フィート(およそ2m)ほどもある石製の駒が置かれた巨大なチェスボード。チェスが好きな夫人のために造られたオブジェだろうか?
そのチェスボードの上に一人の女性が無惨な姿で横たわっていた。おそらくこの女性がタングルブルック夫人だろう。
夫人の側頭部には大きな穴が開いており、そこから中身を乱暴に引きずり出され、食いちぎられていた。
何にやられたのかは不明だが、この先に魔物がいる可能性は高い。正直逃げたい。帰りたい。
地下道を抜け、刑務所に出る扉を開く。
ここからが本番だ。