ドックス地区 下水道にて

 流れ流され下水道。
 小船に揺られ着いた先は使われなくなって久しい貯蔵庫。そして、どこからか聞こえてくる男達の怒鳴り声。
 道は一本道、奥へ奥へと進んでいくとやがて開けた場所にでた。

 部屋を二分するように柵が設けられており、その柵を挟んで2人の男がそれぞれの手下を従え、なにやら言い合いをしている。
 やがて柵のこちら側にいた壮年の男が俺の存在に気付いたようだ。

「おい、ヴェンゴール。こいつらは何者だ? お前の援軍か?」

 壮年の男にそう訪ねられ、柵の向こう側にいる初老の男、ヴェンゴールも俺の存在に気付く。

「ん? あ、ああ、その通りだカリック。いまこそお前を打ち負かしてやる!」

 おいおい、じいさん、勝手なこというな。

 しかしそれを聞いた壮年の男、カリックは

「誰だろうがかまいやしねぇ。やっちまえ!」

 と、手下と共に襲い掛かってきた。

「おう、がんばれよ、若いの。ヴェンゴール・ブラッドセイルがついてるぞ!」

 このジジイ、カリックを倒したらお前も同じ目に合わせてやるからな。

 カリックはさすがブラッドセイラーのNo.2 だけあり、実力はかなりのもの。確実にこちらの急所を狙ってくる攻撃はまともに当たると大ダメージを受けてしまう。
 護衛を倒した後、カリックと正対するように位置取り、急所攻撃を封じ込む。
 あとはいつもどおりに押し倒してからマウントポジションに移行しボッコボコにする。

「やるじゃねぇか、小僧。カリックのヤツを負かすたぁ大した腕前だ」

 喝采の声を上げるヴェンゴールを一瞥したあと、カリックの懐を探るとマスターソン家のアミュレットを発見した。
 性能的には大した物でもなさそうだし、あとでちゃんとマスターソンに返しておこう。

 奥の通路を通って柵を迂回し、ヴェンゴールとの直接対面を果たす。

 今回の海賊団ブラッドセイラーの内紛事件は、ヴェンゴールの陳腐な自尊心から起ったものだった。
 このゴタゴタの責任を取ってもらうためにもヴェンゴールの殺害を試みたが、彼の護衛を倒した時にはヴェンゴールは逃げ出した後で、姿も形も見えなくなっていた。
 まったく逃げ足の速い爺さんだ。

 箱に入っていたコカトリスの死骸から羽を数枚抜き取ったあとティール神殿に帰還する。
 それにしても、あの魔獣コカトリスが野良犬に咥えられていたところを手に入れたとヴェンゴールは言っていたが本当だろうか。にわかには信じがたい。

 レディ・アリベスにドックス地区での報告と、奪還した治療薬の材料(コカトリスの羽)を届け、報酬を受け取る。
 これで治療薬の材料は残り2つ。

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